養育費が支払われないときの対処まとめ|公正証書・履行勧告・強制執行まで

養育費の未払いに気づいたときの対処フローを表す書類と矢印のシンプルなイラスト ひとり親

養育費の未払いに気づいたときの対処フローを表す書類と矢印のシンプルなイラスト
Child Support Nonpayment – Action Flow Illustration
編集メモ
「最初の未払いに気づいたとき、何から始めたらいいのか分からず不安」——そんなときに辿るべき手順を、公式手続の順序どおりに整理しました。
まずは記録合意内容の確認。それでもダメなら履行勧告、最終は強制執行です。

この記事の要点(最短フロー)

  • 支払約束の確認:調停調書・審判書・判決、または公正証書で金額・期日が具体的かをチェック
  • 任意の督促:メール等での催告 → 内容証明で記録化
  • 履行勧告(家庭裁判所):原決定をした家庭裁判所に申出。費用負担なし。勧告は強制力はないが、公的な圧力になる
  • 強制執行(地方裁判所):給与・預貯金等の差押え。債務名義(調停調書・審判書・判決・公正証書)が必要

未払いに気づいたら最初に確認すること

合意書・支払期日・証拠保全(通帳やメッセージ)をチェックする流れを示すイラスト
First Checks – Agreement
  • 合意の種類:口頭/LINE等の私的合意のみだと強制執行ができないため、改めて調停公正証書の取得を検討
  • 支払期日と金額:「毎月◯日◯円」など具体性が明記されているか
  • 遅れの記録:通帳、明細、メッセージのスクショ、督促の送付控えを保存
  • 相手の属性:勤務先・金融機関の情報は強制執行時に有用

参考:裁判所|養育費に関する手続日本公証人連合会|離婚と公正証書

任意での解決ステップ(まずは督促)

督促メールと内容証明郵便で段階的に請求する様子を表すイラスト
Demand Stage – Reminder and Content-Certified Mail

① メール・手紙での催告(証拠化)

「支払期日/金額/支払方法」を明記し、期限と支払口座を示して簡潔に。後日の証拠になるよう、送受信の記録を残します。

② 内容証明郵便(フォーマルな催告)

支払約束の根拠(調停調書・公正証書等)と、未払い金額の内訳、支払期限(◯日以内)を記載。受取拒否や不達の可能性もあるため、配達証明付き推奨。

履行勧告(家庭裁判所)

家庭裁判所から履行勧告を促すイメージ(庁舎と吹き出し)のイラスト
Rikō Kankoku – Family Court Recommendation

調停・審判・判決等で定まった義務が守られない場合、当該手続を行った家庭裁判所履行勧告を申し出できます(申出手数料なし)。

  • 用意するもの:申出書、調停調書や審判書の写し、未払いが分かる資料など
  • 効力:裁判所から義務者へ履行を促す「勧告」。強制力はないため、従わない場合は次の強制執行へ

参考:大阪家庭裁判所|履行勧告の申出(PDF)

強制執行(地方裁判所)— 給与・預貯金の差押え

給与や預貯金の差押え(銀行・南京錠・書類)を示すイラスト
Compulsory Execution – Wage and Bank Levy

強制執行は家庭裁判所ではなく、地方裁判所への申立てです。対象は給与・預貯金などの債権。申立てには債務名義(調停調書・審判書・判決・執行認諾文言付公正証書)が必要です。

  • どこに申立てる?:義務者住所地の管轄地方裁判所
  • 必要書類と費用:申立書、債務名義写し、送達証明等/収入印紙・郵券(各裁判所の案内を確認)
  • 狙い所:給与差押え(勤務先名が分かると有利)、預貯金差押え(金融機関・支店情報があると早い)
  • 備考:将来分養育費の継続差押えが認められるケースがあるため、月次回収の設計も検討

参考:裁判所|養育費に関する手続(強制執行の管轄など)大阪地裁|扶養義務に係る差押命令申立の説明

公正証書がない/私的合意だけのときの選択肢

公正証書がない場合に調停や公正証書化を検討するイメージの書類と印章
No Notarial Deed – Options for Enforceability

私的合意のみでは、原則として強制執行は不可家庭裁判所の調停で取り決めを作るか、公正証書(執行認諾文言付)の作成を検討します。

  • 公正証書のポイント:合意内容を明確化/将来の未払いに備えた執行認諾文言の付記
  • 費用感:手数料は文書分量・金額等により変動。最新の手数料表で確認

参考:日本公証人連合会|離婚QA(公正証書)公証人手数料(PDF)

よくある質問

Q. 督促は何回まで? 内容証明は必須?

A. 回数の決まりはありませんが、任意督促→内容証明→履行勧告→強制執行のように段階を踏むと記録と合理性が残ります。内容証明は必須ではありませんが、証拠性の観点で有用です。

Q. 履行勧告だけで払ってもらえる?

A. 履行勧告は強制力はありません。応じない場合は、強制執行へ速やかに移行します。

Q. 相談先は? 費用が心配…

A. 経済的に厳しい場合は、法テラス無料法律相談の対象になり得ます。

次の一手

  • 未払いの記録(証拠化)と、督促文面の準備
  • 合意が私的合意のみなら、調停公正証書の準備
  • 支払い意思が乏しければ、履行勧告→強制執行

不安が大きいときは、法テラスの無料相談を活用しましょう。

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