編集メモ
「相場はいくら?」という質問に、単純な答えはありません。実務では事案の重さ(期間・態様・社会的露見)や夫婦・子どもへの影響、当事者の収入状況など、複数の要素を積み重ねて評価します。この記事は金額の“決まり方”の考え方と、時効の起算点と止め方、そして任意請求→調停・訴訟の流れを、迷わず使えるよう実務順にまとめました。
「相場」の正体:金額は“要素の足し引き”で決まる
実務で金額が上下する主な要素は、不貞の期間・頻度・悪質性、婚姻関係への影響(別居・破綻・修復の見込み)、未成年の子の有無と影響、露見の態様(職場や親族に広がったか)、当事者の資力などです。ネット上の「平均額」は目安にすぎず、個別事情で大きく振れるのが実情。まずは事実を時系列で並べ、上記の要素に沿って上げ要素/下げ要素を整理しましょう。

- 長期間・反復: 関係の継続が長い、複数回、計画性。
- 社会的露見: 仕事・親族・学校に波及、名誉毀損の様態。
- 未成年子への影響: 養育環境への実害、生活の混乱。
- 婚姻の破綻後: 交際開始時点ですでに破綻状態だった事情。
- 関与の軽微: 期間が短い、深い関与でない。
- 相手の認識: 既婚の認識が乏しい(状況次第)。
誰に請求できる?「配偶者」と「相手方」の責任
原則として配偶者に対して請求可能で、事情により相手方(不倫相手)にも共同不法行為として請求が検討されます。ただし、婚姻がすでに破綻していた後の交際などでは、相手方の責任が認められないケースがあります。相手方に向けるかは、破綻の有無や認識など事実の積み上げで判断しましょう。
時効の考え方:起算点・完成猶予・更新

損害賠償請求の消滅時効は、一般に損害および加害者を知った時からの短期と、不法行為の時からの長期のいずれか早い方で完成します。いずれにしても、内容証明の送付や訴訟提起などで完成猶予・更新が図れます。起算点に迷う場合は、まず事実の把握日を明確にし、書面化で足を止めるのが安全です。
- 台帳化: いつ知ったか、いつ動いたかを日付付きで一本化。
- 内容証明: 金額・支払期日・振込先を明記し、回答期限を設定。
- 並行準備: 不調時に備え、調停申立書の下書きを先に作る。
請求フロー:任意→内容証明→交渉→調停/訴訟

まずは任意請求(提案)で金額と支払条件の骨子を示し、内容証明で立場を明確化します。交渉が停滞したら、家庭裁判所の調停を活用。合意に至れば調停調書で執行力を確保し、不成立なら訴訟へ。各段階での記録の継続性と言い分の整合性が結果を左右します。
文例:内容証明/合意条項の骨子
・請求趣旨:不貞行為に基づく慰謝料として金◯円を請求します。
・支払条件:◯年◯月◯日までに、下記口座へ一括(または分割◯回・毎月◯日)で支払うこと。
・付随条項:守秘・接触制限・SNS投稿の禁止、違反時の違約金◯円。
・期限後の扱い:期限までに合意または支払いがない場合、調停・訴訟等の手続を行います。
第1条(支払額・期日)/第2条(分割条件と期限の利益喪失)/第3条(振込先)/
第4条(守秘・名誉毀損防止)/第5条(清算条項)/第6条(紛争解決手続)
注意点:違法収集と「婚姻破綻」の評価
たとえ事実関係が濃厚でも、無断ログインや無断GPSなどの違法収集は、交渉・訴訟の場で足を引っ張ります。また、相手方に請求する場合は、交際開始当時に婚姻が破綻していたか否かの評価が重要です。破綻や認識の立証は、日付の入った客観資料を軸に静かに積み上げましょう。


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