基本原則:OKの鍵は「アクセス権」
まず押さえたいのは、証拠収集の可否は「自分に正当なアクセス権があるか」で大きく分かれることです。自分のスマホ・PC・契約サービスに保存されたログや領収データは、通常の利用の範囲で閲覧・保存が可能です。
一方、相手のID・パスワードを推測・突破してログインする行為は不正アクセスのおそれがあり、位置追跡端末の無断装着は規制対象になり得ます。
一次情報:不正アクセス禁止法 / 個人情報の保護に関する法律
LINE・メール・クラウド:どこまで扱える?

自分のスマホや、自分のアカウントに紐づくクラウドに残ったトーク履歴・写真・領収データの閲覧と保存は、一般に扱いやすい情報源です。家庭で実際に共用されているPCのブラウザ履歴なども、共用実態が明らかなら扱いやすい部類に入ります。
注意するべきなのは、相手の端末やアカウントになりすまして入ること。パスワード突破や秘密の質問の推測などは、後から違法性の指摘を受けやすく、せっかくの証拠が使いにくくなるリスクがあります。
位置情報・尾行:越えてはいけないライン

小型GPSやタグを無断で装着して相手を追跡する行為は、規制に抵触するおそれが高い領域です。場所や時間の突き止めは魅力的に見えても、のちの交渉や手続で逆風になりかねません。
どうしても時系列を補強したい場合は、第三者が発行する客観的な記録(交通系ICの利用履歴、クレジット明細、ホテルの領収書等)を積み上げる方が、改ざん疑念が少なく評価されやすいです。
録音・会話の記録:自分が“その場にいる”なら
自分が参加している会話の録音は、一般に許容されるケースが多い実務領域です。逆に、隠しマイクを他人の会話に仕掛ける、施設管理者の許可なく録音禁止の空間で強行する、といった行為はトラブルの火種。録音ファイルは撮影日時・場所のメモを添えて、編集せず保存しておくのが基本です。
探偵への依頼:できること・できないこと
探偵は、合法の範囲で尾行・張り込み・撮影を行います。依頼時は、目的・期間・成果物(写真・報告書)を明確にし、違法な依頼はしない/受けないことを双方で確認します。
費用は対象人数や稼働時間で変動。成果物はのちの交渉・調停で時系列を補強する材料になります。
保存の作法:連続性を壊さない(チェーン・オブ・カストディ)

証拠は改変しない・順番を崩さないことが命。スクショは便利ですが、可能な限り原本(PDF/紙台帳/公式明細)を揃え、ファイル名や台帳に取得日・出典・関連トピックを記録します。
画像はEXIF情報を残し、圧縮・加工は避ける。会話ログは前後関係がわかるように連番でまとめるだけで、説得力が大きく変わります。
よくある質問
Q. 自分のスマホで見つけたLINEスクショだけで足りますか?
A. 補強として、第三者発行の記録(明細・領収・位置履歴)を1〜2点でも揃えると説得力が上がります。
Q. 相手のパスワードが「家族共有」で知っていました。使ってもいい?
A. なりすましでのログインは後から違法性を指摘されるリスクがあります。自分側の情報で組み立てるのが無難です。
Q. 録音はどこまで許されますか?
A. 自分が当事者の会話の録音は扱いやすい一方、他人の会話の盗聴はトラブルの元です。日時メモを添え、編集せず保存しましょう。
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