離婚協議書テンプレ&作り方|必須項目・条項サンプル・公正証書化まで完全ガイド

離婚協議書の全体像(書面アイコン・印章・チェックリストの抽象イラスト) ひとり親
離婚協議書の全体像(書面アイコン・印章・チェックリストの抽象イラスト)

先に結論:迷ったらこの順で進める

6ステップの流れ(項目整理→テンプレ選択→条項作成→合意→公正証書→運用)を示す図
  1. 項目を洗い出す:親権・監護・面会交流・養育費・財産分与・慰謝料・年金分割・住居・引渡し・清算条項
  2. テンプレに当てはめる:後述の条項サンプルをベースに具体化
  3. 一次情報で必須事項を確認:民法の根拠や裁判所の手続ページをチェック(リンクあり)
  4. 合意と署名押印:署名日・当事者表示・ページ割印など同一性を担保
  5. 必要に応じて公正証書化:強制執行認諾文言の是非を検討(後述)
  6. 運用と見直し:変更は協議→調停→審判の順で(一次情報リンク)

関連:養育費算定表ガイド面会交流の設計親権と監護権の違い

離婚協議書の必須・重要項目チェックリスト

チェックリストと書面アイコンのイラスト
  • 当事者の表示:氏名・生年月日・住所(将来の送達先も)
  • 親権・監護:親権者(民法819条)・監護者、居所指定、連絡ルール
  • 面会交流:頻度・方法・受け渡し・代替日・連絡手段(家裁ページ
  • 養育費:金額・支払日・口座・見直し時期・不足費用の取り扱い(算定表リンク)
  • 財産分与:現預金・不動産・保険・証券・車等の帰属と手続
  • 慰謝料:有無・金額・支払方法(該当する場合)
  • 年金分割:合意分割/3号分割の手続・期限(日本年金機構
  • 住居・引渡し:転居期限・鍵の引渡し・原状回復など
  • 清算・守秘:将来清算条項・個人情報の取扱い・SNS配慮
  • 公正証書化:作成有無・費用負担・強制執行認諾の要否(法務省解説

条項テンプレ(コピペ編集OK)

テンプレートの構造を示す抽象フローチャート
Clause Template – Fill in the Blanks
【離婚協議書】
第1条(当事者・目的)
甲(氏名・生年月日・住所)と乙(同)は、協議離婚にあたり、次のとおり取り決める。

第2条(親権・監護)
1. 子◯◯(西暦◯年◯月◯日生)の親権者を甲/乙とする(民法819条)。
2. 監護者は甲/乙とし、居所は◯◯市内とする。変更時は事前にメールで通知する。

第3条(面会交流)
1. 原則として月◯回、◯時間、受渡場所は◯◯駅改札前。体調不良等は代替日を設ける。
2. 間接交流として、毎週◯回◯分のオンライン面会を実施する(記録は残さない/残す)。
(参考:家裁サイトの案内に沿い、子の利益を最優先に運用する。)

第4条(養育費)
1. 乙は甲に対し、毎月◯日限り◯◯円を、◯◯銀行◯◯支店◯◯口座へ振り込む。
2. 高校進学時・収入大幅変動時は協議して見直す(不調時は調停申立て可)。
(算定表:東京家裁サイトを参照)

第5条(財産分与・慰謝料)
1. ◯◯名義の預金◯◯円は甲に帰属させる。不動産(所在:◯◯)は乙に帰属させ、移転登記を◯月末までに行う。
2. 慰謝料◯◯円を乙は甲に支払う(該当する場合)。

第6条(年金分割)
1. 厚生年金の合意分割を行う。按分割合は◯◯%とし、必要書類の取得・届出を◯年◯月末までに行う。
(日本年金機構の期限:原則、離婚の翌日から2年以内)

第7条(住居・引渡し)
1. 乙は◯年◯月◯日までに◯◯住所から転居し、鍵一式を引渡す。

第8条(清算・守秘)
1. 本書記載のほか、甲乙間に金銭その他の債権債務のないことを相互に確認する(清算条項)。
2. 本書の内容・個人情報を第三者に開示しない(法令・裁判手続等を除く)。

第9条(公正証書)
1. 甲乙は本書の内容に基づく公正証書の作成を嘱託する。
2. 養育費等の金銭支払条項について、乙は「支払わないときは直ちに強制執行に服する」旨の陳述を行う(強制執行認諾文言)。

第10条(合意の変更・紛争解決)
1. 変更は書面(メール合意を含む)で行う。不調時は家庭裁判所の調停に付す。

令和◯年◯月◯日
甲(署名押印)         乙(署名押印)

※最終稿は状況に応じて専門家にチェックを。一次情報のリンクは本記事末に一覧。

公正証書化のポイント:強制執行認諾の有無と流れ

公証役場・書面・矢印で手順を示すイラスト
  • 公正証書とは:公証人が作成する公文書で、成立の真正について強い推定(証拠力)が働く。日本公証人連合会
  • 強制執行認諾文言:金銭支払条項に「支払わないときは直ちに強制執行に服する」旨があると、裁判を経ずに執行可能(法務省)。
  • 流れ:(1)原案持込→(2)必要書類提示→(3)読み合わせ→(4)正本・謄本交付→(5)保管
  • 費用:章句・金額に応じて変動(公証役場で見積)
  • 注意:全条項に執行力が付くわけではない。金銭債務(養育費・慰謝料・分与の金銭部分等)が主対象。

年金分割のキホン:期限と書類

年金の書類とカレンダーの抽象アイコン
  • 制度:合意分割/3号分割(厚生年金)。日本年金機構の案内で要件確認
  • 期限:原則、離婚の翌日から2年以内に請求(例外あり)。公式Q&A
  • 準備:情報通知書/標準報酬の記録確認/当事者の身分証 等
  • 協議書との関係:按分割合・届出担当・提出期限を条項化しておくと実務がスムーズ

運用と見直し:記録・通知・変更手続のコツ

  • 記録:合意はメール/チャットでログ化。件名やテンプレを決め検索性UP
  • 通知:住所変更・口座変更・勤務先変更等は期限と方法を条項で明記
  • 見直し:増減要因(進学・収入変動・医療事情)発生時は、協議→家庭裁判所の調停→審判のルートを意識(調停案内

よくある質問(FAQ)

Q. 協議離婚では何を必ず決める?

A. 未成年の子がいる場合は、離婚時に親権者の指定が必須(民法819条)。監護・面会・養育費も一体で。

Q. 強制執行認諾は必ず入れるべき?

A. 金銭支払条項を確実化したい場合に有効。ただし、金銭債務以外には及ばない点、公証役場での確認が必要(法務省)。

Q. 面会交流の定め方は?

A. 子の利益を最優先に、頻度・方法・代替日・連絡ルールまで具体化。不調時は家裁の調停へ(裁判所ページ)。

Q. 法改正の影響は?

A. 2024年成立の改正で、離婚後共同親権の導入等が決定(公布から原則2年以内に施行予定)。最新情報は法務省の解説とパンフで確認を。解説ページパンフPDF

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